榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

シナリオライター/文筆家/お仕事の依頼はtoriko.haibara@gmail.comまで。


7月14日

喉の痛みで目が覚める。声を出してみようとするが、全く出ない。口から出るのは咳ばかり。

娘がやってきて、iPadのストップウォッチ機能と、ストップウォッチが同時に鳴り、「やったー!24時間はかれた!!」と喜んだ。

 

蜂の巣は、驚くほど蜂の巣になっていた。

おお、縞模様が見えるね、と家族で観察する。あんなに蜂がいたのに、1匹いるか、いないかだ。

女王蜂を探しに行っているのかな?と夫。どんな風に連れてくるんだろう!と盛り上がる夫と娘。

 

横須賀美術館の、せなけいこ展に行く。

印刷されているものには感じなかった、腰砕けになりそうな脱力系の可愛さが原画にはあった。同じ絵なのに印象がぜんぜんちがう。

そして、額に飾られて絵として見ると、どの絵も躍動感があって、物語を感じるどころかほぼ動画であった。

娘は自分の貯金から、蓄光加工のほどこされたおばけのポストカードと、めがねうさぎのマスキングテープを一人で並んで買っていた。

 

夜はいだてんを観る。ようやくリアルタイムに追いつく。

金栗篇の皆さんのすばらしさ。実家に着いたときの金栗さんの細やかな痛ましさ。さようなら、でも来週も楽しみ。

 

応募したものが一次で落選したことを知る。

まさか一次で落ちると思っていなかったので、衝撃が大きく、動揺し、落胆し、目の前がぐるぐるして、腐らないなんて無理じゃない?ていうか、もう、無理なんじゃない???と問いかけながら、寝た。

7月13日

喉のひりついた痛みで目が醒める。

声が出なかったが、ミルクティーを飲んでいるうちに出て来る。

 

着付アシスタントのバイトで鎌倉へ。

残業となり、一度帰ってからと思っていた飲み会に直接出かける。

残業からの冷えた瓶ビール。最高。

 

幼稚園のバザーのチームの打ち上げで、在園時には一度もなかったママ友飲み会、私たちはとても楽しみにしていて、実際とても楽しかった。

その上、予約していた店が、まさかの同幼稚園の顔見知りの父兄のお店で、「予約のときに言ってくれれば!」「いや、ぜんぜん知らなかったから!!」と、次々とサービス品を出してもらってしまって、そもそもおいしいからと予約していた店だったので、くるしいくるしいと言いながら〆のおおきな明太子おにぎりまで全員食べれてしまって恐ろしい。

カフェでお茶をして、喉が枯れるまで喋って、全員ちがう路線バスに乗って、私は徒歩で、帰った。

 

途中の会話で、高校生なんていちばん楽しい時期だったよ〜と言い合っているところ、私は高校は退屈で仕方なかった部活や恋愛で部分的には楽しい面や幸せなこともあったけど、はやく大人になりたかった、と言った。じゃあいつがいちばんたのしかった?と純粋なまなざしを向けられてたじろぎ思わず、いまかな、と答えた。

 

けど、やっぱりちゃんと考えても、総合的に、いま、だとおもうな、今日もとてもたのしかった、と確認しながら歩いた。

だって18で最初の子を産んだひとと、36で一人だけ産んだ私が、友だちになれるなんてすごい。

はっきり覚えているけれど、母親学級に行っていたときは、子どもが同い年だというだけで友だちになんかなれるものか、と鼻白んでいた。

ところが子どもが同い年なだけで、知らない土地で、友だちがたくさんできた。同い年の子どもの話が面白くて仕方ない。どんどん自分がなくなる感じが心地よい。

思うようにいかないことが多いけど、幸せというのともまたちがう感じがするけれど、やっぱり全然10代の頃なんかより今のほうが楽しい。

 

ベッドを夫と娘に占領されていたので、和室に布団を敷いて眠った。

布団を敷くのはとても面倒だけれど、そこに寝るのは好きだ。すごくよく眠れる。一人で寝るからというのもあるだろうけど。 

 

7月12日

蜂の巣は、1日で5倍ほどの大きさになっていた。なんと勤勉。

 

着付アシスタントのバイトで鎌倉。

御昼休みの間中、私がいちばんだいすきな先輩の、特定の政党の悪口を聞きながらごはんを食べた。50代のひとは我々世代よりも熱い。嫌いな政党のひとには「ぜったいいれないんだからッ」と言っちゃうし、指示している政党のひとには「がんばってくださいッ」て言っちゃうらしい。「おばさんだからおさえられないのよ!」と言っていた。おもしろいしかわいい。彼女の大嫌いな政党に私が投票しようと思っていることは口がさけても言わないし、反論もしない。案外レイシストですねと思いながら思うだけで、ほうほう!と聞いたり、あはは、と笑ったり、そうなんですか?と問うだけである。

 

夜、録画のいだてんの26回「明日なき暴走」を観る。

人見絹枝物語的な絵本を小学生のときに読んで以来人見絹枝ファンだという夫はこの録画を消されないように保護状態にしており、何度観ているのか知らないけれど、今回もまた泣いているのだった。

菅原小春はすばらしかった。今まで主役だった人たちが脇役として出て来る構成もうれしい。

でもなんでか心が引っ張られない。いだてんの女子スポーツの回は全般そんな感じだ。なぜか感情移入ができない。なぜなのだろう?

 

夕飯はポトフ。完全に風邪をひいているので。

 

私と娘が寝室に上がる頃になって、はじめて猫はアシダカグモに遭遇したらしく、怖々触っていた。人間たちは、クモに「はやく逃げて!」と応援をした。我々はクモよりも、ゲジゲジやゴキブリやムカデのほうが大いに困るので、クモに死なれては大変なのだ。