榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

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7月28日

台風と生理がいっぺんにやってきて、私の頭蓋骨は青銅の鐘となり、大晦日の如く鐘木で側頭部を突かれ続ける。

 

夕方、夫と娘が風呂に入っている間、2階の和室のちゃぶ台の上でノートPCを開き、フジロックフェスティバルのハンバートハンバートのLIVE中継を膝を抱えて見た。

画面の向こうは雨なのに、こちら側の鳥の声と合わさって不思議な合奏、かと思えばこちらの強く窓を打ち付ける雨の音との。

 

10年くらい前、唐突に(道を歩いていてとかで)、あっという声をあげて、「もしかしてわたしこのままフジロックに行かずに死ぬのかな」と小さく驚いたことがあった。いつか行こう、いつか行こう、と思っているうちに、だんだん、体力的に、とか、もう知らないバンドばかりだし、とかで、行きたい気持ちすら消えかかっていたのだけれど、いざ、本当に、「行かないで死ぬのか」と思ったら、そのことがリアルすぎて愕然とした。

 

のを思いだす。

 

ハンバートのライブはすばらしくて、扇風機を掃き出し窓に投げつけ飛び出して、屋根伝いに駆け出して星になってしまいたかった。

 

ライブが終わってPCをパタンと閉じて、台所で米をといだ。

ネット中継終わりの、余韻のなさが産む虚無感たるや。

野菜の素揚げの油を切る古新聞の、オウム13人死刑執行の見出しの文字がにじんでいく。サリン事件が起きた頃、おまえには日常がない、という批判を受けたことがあるのを思いだす。

 

日常感に蝕まれながら作った夏野菜のカレーは好評で、夫も娘もウキウキとおかわりをしていた。