榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

シナリオライター/文筆家/お仕事の依頼はtoriko.haibara@gmail.comまで。


12月8日

レゴのアドベントカレンダーで、ドローンが出てくる。

おもちゃのある部屋で寝ているので、娘は起き抜けにすぐにちゃぶ台に向かうとiPadでプログラミングをやり始めた。

 

もう熱がだいぶ下がったという夫を寝室に閉じ込めておくのもかわいそうなので、今日は1日私と娘が出かけることにした。

さて水族館にでも行こうかというところで、イトコから連絡があり、鎌倉に行くから後でお茶をしようと言われる。うれしい。

 

江ノ電に乗って水族館に向かい、新しいスタンプラリーをやり、魚の餌やり体験をし、ひとしきりヤドカリと戯れ、海を見ながらおにぎりを食べた。

イトコから再び連絡が入り、彼女が行きたいというカフェが家から車で20分ぐらいの場所だったので、いちど家に帰って車で向かうつもりが、娘が工作をやり始めてなかなか終わらず、結局一度帰宅するのを諦め、モノレールに乗って移動した。釣り下げ型のモノレールはアトラクションのように揺れる。海を眺め、いつもの道を見下ろして、目的のカフェに入ってみればよく行く娘の友達の家のすぐそばだった。

 

妹からLINEのメッセージ。

父の妹である叔母から電話があったと言う。叔父と叔母と父は同じビルで働いているのだが、父が昨日会社にタクシーで行ったそうで、久しぶりに見た父の老衰ぶりに、叔母はとても驚いてしまったらしい、「あんなの一人暮らしなんて絶対無理いったいどうなっているの、すぐさまいろんな手続きを取って適切な場所に住まわせてそれまでは各自サポートを」とそこそこの剣幕。私だったらカチンときて喧嘩になったろうが、私たちの動きが全く見えていなかった叔母に妹は状況を説明し、かつ父のことをさんざん愚痴り、叔母からも父に言ってもらえるよう頼んだというのだから、末っ子は末っ子同士で話すほうがいい。

端から見ていると、父の「大丈夫大丈夫」は強がり、もしくは周りに気を使って言っているように見えるのだろう。私と妹が父のことを、ただただほっらかしにしているように見えるのだろう。だってぜんぜん大丈夫に見えないのだから。父は全く自分を客観視できていない。

それにしても、なぜみんな直接父に意見を言ったり怒ったりしないのだろうか。年長者の男性には言いづらいのか。だからといって言いやすい相手に堰を切られても困る。それともあの「大丈夫大丈夫」に刺さる言葉が見つからず、憤懣やるかたなく近親者に「ねえあれちょっと」となるのだろうか。

 

地図アプリに墓場へと先導されながらもなんとかたどり着いたイトコとお茶をしていると、件の娘の友だち一家が通りかかり、その後、お宅にお邪魔することに。ちょっとお邪魔するつもりが、気づいたら19時まで居座ってしまい、私と娘はバスに乗り、冷えてきたのでバーミヤンでラーメンを食べてなんだか自由だ。

スーパーでみかんをねだられて、娘は夜道をみかんをむきながら歩いた。「夜だとトンビに持ってかれないね」と歩きながら2つも食べ、私の左手いっぱいにみかんの皮が握られる。

 

今日は思いがけずいろんな乗り物に乗れて楽しかったと言って、娘は帰宅してすぐに眠った。夫は丸一日ポトフを食べていたようだった。