3月4日
雨。沈丁花香る。
妹が先生に聞いてきた話によると、父の血液内にばい菌が入りこんだらしい。詳しい事はよくわからないが抗生剤だかで養生しているらしいとのこと。
病室の父は、いやあ今度ばかりはダメかと思ったよと笑っていたという。
「何しろ、3日も意識がなかったんだから!」
それは、単に麻酔で眠らせておいたからである。
娘はスワローズのユニフォームを着て学校に出かけた。
365日野球のユニフォームを着ているクラスメイトがいるので、さして目立ちはしないだろうと好きにさせる。
帰宅した娘に、誰かにユニフォームについて言われたかと尋ねると、自分からみんなにこれ何のユニフォームかと聞いて回ったそうで、正解者は3名、内1人はもちろん365日鈴木誠也のユニの子だ。
今日はできれば少し書道がやりたいと言って、娘は持ち帰っていた書道セットと、祖母からもらった半紙を広げ、大きく、春と一文字書いた。
墨の匂いが漂う部屋の中、窓の外で鳥が鳴き出し、雨が上がったのを知る。まどろんでいた猫はその声にピッと醒め窓の外を凝視し、娘は続けて、猫、と書いた。