榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

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2月16日

喫茶店でモーニングを食べながら仕事をしていると、中年の4人組のうち派手な女が、おもむろに札束を取り出して、指を舌でしめらし、ペシシシシシシシシッと札束を数え始めたので驚いた。女はどうやらアジア系の外国人のようだった。店員が、ここで商売をしないようにと注意をしに行く。ペコペコとアニメ声で謝っているピンク色のベレー帽をかぶった中年女は、不揃いの毛先がコントのカツラのようだった。謝っているようだが、首謀者はそいつだ。

 

花粉が飛んでいる気がする。

 

消防署では、大掛かりな訓練が催されていた。

車の中に人がいてぐったりしている、そして前輪は人(人形)の腹までがっつりぐんにょり踏んでいる。車の下には青いビニールシートが敷いてあり、訓練を見ているうち、どうやら崖下の海岸付近での事故という想定のようだった。高台からロープで訓練生が降りてきて、高台にいる仲間や上司たちと怒鳴り合いながら足場を踏んで確かめ進んで行く、窓の中に手を突っ込んで、ぐったりしている人に触れた瞬間、ボードに書類をはさんだ監督者が、減点をした。

 

お弁当を食べようとつけたTVが、ちょうど、羽生選手のショートプログラムを流すところだった。芸術点の入るスポーツがどうも見方がよくわからないので、羽生選手が滑るところをはじめて観た。コントのような黄色い声援と、火の化身のような羽生選手の身体使いが印象的だった。ディズニーの短編アニメ、又は手塚治虫の漫画を観ているようだった。古代に生まれていたら、権力者に愛され、殺されていたろうなと思うような、魔術的な美しさだった。

 

妹に、誕生日おめでとう、とメッセージを送る。

妹からは「ありがとう。昨日、30kmオーバーで罰金7万、免停くらいました」という返信が送られてきた。

しばし考え「今日じゃなくて、昨日でよかったね!今日からはまた新しい1年だよ〜」とキラキラマーク付きで送ったが、返事はなかった。