榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

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9月14日〜25日

9月14日〜25日

二週間が過ぎ、その間気温は上がったり下がったりしすぎており、私は久しぶりの東京の人ごみの中、「あ、今やられた」とわかるほどはっきりと風邪をひいた。

ひいた風邪は熱こそ出なかったけれどスタンダードな症状を移行、今もティッシュペーパーを傍らに携えている。

 

映画は2本観た。

「オーケストラ・クラス」と「顔たち、ところどころ」。どちらもフランス映画だ。

前者はフランス版スウィング・ガールズというか、ツアーに参加出来ないバイオリストが小学校のおちこぼれのバイオリンのクラスを教えることになり、コンサートでの演奏を目指して奮闘する、スタンダードな話。フランス人は、大人も子どもも、こんなにクラシック音楽に対してきちんと聴く耳をもっているのか。芸術に対する開かれ方がほんとうにこのようなのなら、羨ましい。本番前の、袖にいる子供たちの表情が良かった。

 

後者はドキュメンタリー映画で、非常にかわいらしかった。こちらも、やはりアートに対する、村の人々の温度感が羨ましかった。そしてドキュメンタリー映画なのに、どのカットもかわいらしく、美しくなることも。アニエスの鞄がいつもかわいい。私もおばあさんになったら思い切り少女趣味のものを着てみたい。

 

本は、「フロスト日和」と「美女と竹林」を読み終えた。

「フロスト日和」は夏中かかってしまったから、荷が降りた気分だ。

 

それから来年の手帳や占いの本を買ったり、歳時記の秋版を買って秋の俳句を詠んだり、2ヶ月溜め込んでいる家計簿の一ヶ月分をつけたり、自分の弁当と、朝のウォーキングと、英語の勉強を再開したりして、あとは仕事をしていた。打ち切りになるだろうと言い渡されていた仕事が、もう少し続けられそうなのだった。ありがたい。

 

友だちとは2人会った。

イトコには2回、妹一家には一回。彼岸に墓参りも一回。父にはメール。

酷暑の今年の夏、部屋でゴロゴロしてばかりいた父は、久しぶりの孫のお迎えで、保育園の中で貧血を起こして倒れたという。父の貧血はいつもの脳貧血で、いわゆるタバコのやりすぎなのだが、妹の家に送り届けた後は、そのままスナックに酒を飲みに出かけていったというのだから、手に負えない。更にはそんなことがあった後、妹に、車を貸してほしいと言ってきたという。妹は、誰かになにかしてしまった後では遅いのだからと言ったそうなのだが、そうならないように練習したいのだと父。あんなことがあった直後だし、どうしても行きたい場所が車であるなら連れて行くからと妹が言うと、さすがに持ち主にそれ以上は言えず、父は電話を切ったと言う。

少し歩きお酒と煙草は控えなさい、ちゃんとごはんを食べなさい、と、妹がいくら言ってもダメで、もうもう放っておく!と言いつつ妹は、結局生存確認の電話をいれてしまうのだと言っていた。

妹は、一事が万事この調子で、始終怒鳴り散らしていても、結局最終的には男たちを甘やかしてしまう。そういう性なのだ。

妹の話を聞いていると、私は自分のことが、アンドロイドのように感じる時がある。正しいとか正しくないとかではなく。それをいうなら、全員間違っている。