榛原誌

榛原トリコ・夜・芯etc…榛原たちの湘南暮らし

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9月9日

ヒョウとゴオウが入り交じった、聞いたこともない風の打ちつける音の中で、明方まで眠れないまま、台風一過。

雨戸を開けると、日差しが撮影ライトのようにビカーッと人間を狙い撃つ。

庭のアゲハの幼虫たちは一匹も見当たらなくなってしまった。

想像以上にさみしい。こんなことなら、枝を切って虫かごに入れて、玄関に避難させてやればよかった。

 

家のあちこちを点検したが、とくに被害はなかった。

音がすごかっただけなのかもね、とホッとしていたら、会社に向かった夫からメッセージ。まったく無事なのはうちの周囲だけで、道々は倒木や、折れて落ちたカーブミラー、看板や大量の鳥の死骸が散乱しているとのこと。

そのうち、電車に乗れそうもない、と言って夫は家に戻ってきた。

 

鎌倉に住んでいる数人の友人とメッセージをやり取り。

鎌倉も場所によっては被害が大きいらしく、友人らのところも一時停電があったらしい。そして、やはり、皆一様に、全く眠れなかったと言う。鎌倉駅西口の御成商店街入り口のアーケードがポッキリと折れて、傍らの銀座アスターの窓にブッ刺さっている衝撃的な写真も送られてきた。

そんな状況なのに、小町通りは観光客にぎわっているというから、いったいみんなどこから来たのだろう。時空のゆがみにクラクラくる。

バイト先のレンタル着物のお店では、店長は車で出勤し、午前の予約は全てキャンセル、あとのスタッフは到着出来次第で大丈夫となっていたが、8時のバスに乗ったスタッフが着いたのはお昼だし、9時頃横須賀線の駅にいたスタッフが店に到着できたのは14時だった。

 

しかし、新聞によれば、千葉の方の被害はこちらよりももっと深刻らしい。昨日の深夜にニュースで観た台風の進路状況、真紫色と化した病気のようなチーバ君を思いだす。

 

畳に寝転んでラジオ聴きながらポケモンをし、件のスパイスカレーレシピでサバカレーを作って食べた。

夕焼けの色がものすごい。

 

 

茄子がたくさん届いた。

夫がひどい逆流性食道炎になって、週末の内視鏡検査までは辛いものと脂っこいものが食べられないので、私と娘には麻婆茄子を作り、夫には、刺身と焼き茄子を置いておいた。

刺身好きの娘にはナイショで食べてください、と、メッセージを送る。